『猫背の王子』

2024年2月 中山可穂『猫背の王子』集英社文庫 2000.11.2 右目は完全に乾いていた。左目の涙はとめどがなかった。いつかこれを芝居で使おう、とわたしは思った。善と悪とに引き裂かれるひとつの肉体。二重人格者の悲しみの表現。半身ずつを完璧に使い分けて神…

『さらば、わが愛 覇王別姫』

2023年夏読了 李 碧華『さらば、わが愛 覇王別姫』ハヤカワ文庫 1993.12.1 P6 つまるところ、人生は劇にほかならない。もしそのハイライトだけ見物することができれば、私たち皆にとって、ことがずっと容易なはずだ。ところが私たちは、紆余曲折のプロットと…

貴族、アビシニアン 夜の海、なんとロマンティックな言葉だろう 私たちの愛するものを葬るのに最もふさわしい場所